TNFD/ CSRD/ ISSB

TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)とは
TNFDとは、自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)の略称で、企業が『自然資本』への影響と依存度を評価・開示するための枠組みを開発することを目的として設立された組織。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)から派生した「生物多様性版」の国際的なイニシアチブ。
企業の経済活動は森林や生態系などに多く依存しており、世界の総GDPの半分を超える44兆ドルもの経済価値の創出が自然に中~高程度依存しているというデータもある(※)。それらの産業・サービスが自然破壊により提供できなくなった場合、企業側にもその影響があり、原材料高騰、事業停止、評判失墜などのリスクが顕在化しつつあるため、自然資本を経営計画に織り込む必要があるという課題意識から広がった。
TNFDはLEAP(Locate – Evaluate – Assess – Prepare)アプローチを提唱し、依存・影響の特定、生物多様性、水資源、土壌など、自然に関するリスクと機会の特定・定量化、戦略・ガバナンス、指標・目標設定を行い、それらを統合報告書などで開示することを推奨している。
※Nature Risk Rising:Why the Crisis Engulfing Nature Matters for Business and the Economy
CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive)とは
CSRDとは、企業サステナビリティ報告指令(Corporate Sustainability Reporting Directive)の略称で、EUが導入した大企業のサステナビリティに関する情報開示を義務化する規制。
ISSB(International Sustainability Standards Board)とは
ISSBとは、国際サステナビリティ基準審議会(International Sustainability Standards Board)の略称で、IFRS財団が設立したサステナビリティに関する国際的な基準策定のための機関。
TNFDとCSRDとISSB
TNFD、CSRD、 ISSBは相互に関わりながら、企業のサステナビリティ情報開示の国際的な標準化を推進し、投資家やその他のステークホルダーがより信頼性の高い情報に基づいた意思決定を支援する役割を担う。
CSRDには報告期限が定められており、企業の規模によって報告期限は異なる。大企業は2024年1月1日以降に開始する事業年度から、中規模企業は 2025年1月1日以降に開始する事業年度から、零細企業を除く小規模企業は2026年1月1日以降に開始する事業年度からと規定されている。
TNFD、ISSBに明確な期限はないが、気候変動によるリスクと対策の重要性が高まる中、企業は早期に概念や枠組みを理解し、事業への影響を評価しておくことが求められる。