サーキュラーエコノミー

サーキュラーエコノミー
サーキュラーエコノミーとは、従来のリニアエコノミーに対し、資源を循環させ、廃棄物を最小限にする新たな経済モデル。このリニアエコノミーとは、資源の採掘→生産・消費→廃棄という一直線的な流れで回る経済システムのこと。資源の枯渇や環境汚染といった問題を引き起こす要因とされ、環境問題や将来的な経済に対する危惧などを背景にサーキュラーエコノミーが広がり始めた。
資源投入を最小化し、製品や素材の価値を再設計・再利用・シェアリングする循環型経済は、環境・社会・経済リスクを同時に低減し、長期的な競争力と持続可能な成長を確保するための不可欠であると注目されている。
2050年までに一次資源需要が現在の約2倍に膨らむと試算されている(※)ものの、埋蔵量や生態系の吸収能力には物理的限界があり、この状況でリニアエコノミーを継続すると、資源供給不足と価格高騰、廃棄物処理コストの爆発的増大、気候変動・生物多様性喪失の加速という複合リスクが顕在化する。企業にとっても原材料価格の乱高下や規制強化、レピュテーション低下は財務リスクとなるという認識から、政府や金融機関は循環性を投資・調達条件に組み込み始めたことが背景にある。
※Global Material Resources Outlook to 2060
サーキュラーエコノミーには、「廃棄物と汚染を生み出さない」「製品と原材料を(高い価値を保ったまま)循環させる」「自然を再生させる」という考え方をまとめた「サーキュラーエコノミー三原則」がある。具体的には、製品の寿命を延ばし、リサイクルや再利用を促進することで環境負荷を低減する。環境問題の解決策となるだけでなく、新たなビジネスチャンスと市場を創出し、持続的な経済成長への鍵として注目される。
実現するための施策として、「3R: リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)」の推進、シェアリングエコノミー、廃棄物となった製品をより高付加価値な製品に生まれ変わらせるアップサイクリングが挙げられる。
サーキュラーエコノミーと3Rの違いとして、3Rが廃棄物を減らすための具体的な行動指針であるのに対し、サーキュラーエコノミーは製品の設計段階からリサイクル性を考慮するなど、より広範な領域をカバーし、製品のライフサイクル全体を循環型にすることを目指す包括的な概念となる。